受験者へのメッセージ 

 
錬磨は人を器にする
平尾 宏

 私が、30年以上いろいろな方々の受験指導に関わってきて思うことは、合格するための条件として何があるかということです。それは、率直に言って、年齢・職歴・性別・学歴などにかかわらず、勉強が仕上がった方から順に合格を手にしていくということです。
 この社会保険労務士試験は、学習を積み上げてそして合格する試験です。その合格するための条件は主に「良い教材」、「良い先生」、「やる気」のトライアングルだと考えます。特に社会保険労務士の試験で考えてみると、合格率が10%を切る試験となっております。すなわち100人受けたら90人は現状維持を余儀なくされているわけです。
 情報過多の現代では、いろいろな情報に惑わされて、本当に自分にとって何が必要か見えなくなることがあります。このような時代だからこそ、「この一冊で合格できます」的な安易な取組はしないで本格的に取り組んで下さい。
 
 まず、「良い教材」というものを考えてみましょう。この社会保険労務士受験用の書籍については、人気の急上昇に伴い、売れるからということで硬軟さまざまなものが書店に並ぶようになりました。そして、多くの受験者は選択に腐心することになります。
 まだまだこの試験の歴史も浅く、定評あるものとして確立された基本書は書店にも無いと言えます。しかし、この社会保険労務士レベルの試験では、基本書に何を据えるかは、合否の大きな分かれ目となります。そういう状況を考えるなら、法律中心の社労士試験では「条文」を中心にして、学習していくことが「急がば回れ」で一番の近道だということに早く気が付くことだと思います。
 また、「条文」を軸にした学習は合格後の活躍にも影響して、資格者としていろんな事案に自信をもって対処することができるようになります。
 
 次に「良い先生」の指導を受けるということ。これもまた社会保険労務士レベルの試験では、合格の大事な要素となり、大きく影響を及ぼします。特に、社会保険労務士については、人を対象とした体系となっておりますので、「考え方」が非常に重要になってきますし、合格後にも改正の波に洗われます。
 そこで、合格後も引き続き質問に答えてくれる力のある講師に出会えることが、良い仕事につながってくるわけです。また講師そのものも、年金法を始め改正の経緯を踏まえて指導していかなければ、説得力のある講義内容とはなりません。
 最近の社会保険労務士の人気の急上昇に伴い、講師も多く排出され、付け焼き刃的な内容の講義が多くなってくる傾向が生じています。ちなみに私は「歩く社労士六法」と呼ばれ条文に基づく知識は豊富です。そういう意味で、「誰に指導を受けるのか」はいい加減にできません。

 次に「やる気」は、どんな困難も克復するための最後の決め手となります。極端な話、私の講義の内容のすくなからずのウエートは、「モチベーション(動機付け)」の高揚にかけております。
 一般的に仕事をしながらの取り組みとなります。ほぼ1年という長丁場の受験学習ということになり、秋・冬・春・夏と四季折々一定のモチベーションを保ち続けていくためには、相当の努力を要することになります。年齢・学歴・経験・性別にかかわらず「錬磨は人を器にする」ということです。モチベーションは学習の進展に併せて育て深めていくものです。
 法律の学習、特に社会保険労務士試験は学習を積み上げて合格する試験です。「目的を成し遂げるためには、長い忍耐をするよりもめざましい努力をするほうが、まだ容易」です。錬磨を繰り返えしていけば、合格に到達できます。

 結びとして、私の一番の喜びとすることは、「講習にはぐれずについてきてくれること」であり、「合格してくれること」であり、「合格後活躍してくれること」であります。

 
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